仕事について

EAPの周知方法について

従業員のメンタルケアにおいて4つのケア方法があります。

4つのケアとはセルフケア・ラインケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケア(EAP)です。

セルフケアやラインケア、産業保健スタッフによるケアは機能している企業も多いと思いますが、事業場外資源によるケアを導入しているがいまいち機能していないなと感じている産業保健スタッフも少なくないと思います。

今回は、私が実際にどのような方法で事業場外資源の利用率を向上させてきたかについて、書いていきたいと思います。

EAPとは?

EAPとは、メンタルヘルス不調の従業員を支援するプログラムのことです。厚生労働省が定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の中では、メンタルヘルス対策推進のために「4つのケア」が重要とされています。「4つのケア」とは、労働者自身が自らのストレスを予防・軽減する「セルフケア」、管理監督者の行う「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、事業場外の専門機関の支援を受ける「事業場外資源によるケア」ですEAPは、4つ目の「事業場外資源によるケア」に当てはまり、社外の機関によって行われます。従業員は自分の悩みを社内の人に知られることなく、専門家に相談することができます。もともとEAPは、アルコール依存、薬物依存が深刻化したアメリカで、これらによって業務に支障をきたす社員が増加したことに対応するために1960年代に発展したもので、日本においても1980年代後半から少しずつ浸透してきています。社員の抱える問題、職場の抱える人間関係などの問題を個人的問題として処理して来た日本の企業でも、これらの問題が出現したときの対応コストをリスクマネジメントとして考え、あるいは、さらに一歩進んでCSR(企業の社会的責任)の一貫と考え、EAPを導入する企業が増えてきています。 

引用文献;厚生労働省ホームページ

全従業員へ定期的に周知

従業員の方からよく言われる意見で「そのようなものがあることを知らなかった」とよく聞きます。今まで勤めていた企業や大学でも同じようなことを言われていました。従業員のメンタル不調者の数は少しずつ上昇しているがEAPの利用者数は年に1−2件しかありませんでした。これでは勿体ない!と上層部の意見もあり、従業員へEAPを周知徹底をする方針になりました。しかし、ただ全掲示板や全員へEAPの周知メールを送っても、送る時期を考えなければその他のメールの1つとして見落とされてしまう可能性も高いです。私は、新年度の4月や長期休暇明けの5月・8月・12月やストレスチェック実施後に従業員の方へ周知メールや送ったり、掲示板へ掲載したりしていました。定期的に周知することで従業員の認知度も上がり利用率が少しずつアップしていくことが可能になりました。

個人へのアプローチ

従業員の中には、自分が悩んでいることを保健師や産業医など会社の人へ相談して知られたくないな…という人も少なくありません。そのような従業員へは1度EAPの案内を渡すようにしています。実際にEAPを利用してもらい従業員の判断で「保健師や同僚、上司へ相談してみようかな?」「自分にはEAPの方が合っていたな」と判断しても良いと思います。大事なことは、メンタル不調者の早期発見早期対応をすることだと思います。心身が疲れていることには気づいているけど…人に知られたくないな…と1人で悩んで症状が悪化する前に対応できるようにEAPの存在は従業員1人1人が理解することが大切だと思います。

さいごに 

EAPを利用している会社は多いと思います。しかし、従業員がこのような資源を知らないことも少なくありません。せっかく持っている資源を利用しないと勿体ないと私は思います。

今後も4つのケアを上手く活用し、従業員の心身の健康保持増進をサポートしていきたいと思います。