転職

保健師の転職活動|転職のきっかけ、転職活動の軸や転職方針

産業保健師を目指しているが、なかなか応募がなくて諦めている方や何度も挑戦したが全て落ちてしまい、諦めてしまった方など様々おられると思います。

私も産業保健師として働くまでは、とても苦労しました。そのため、諦めたくなる気持ちもよく分かります。

今回は、私が産業保健師になるために、転職活動で重要視してきたことについて書いていきたいと思います。

産業保健師を目指した理由

企業で働く人を見て視野を広げたい

企業で働いている友人たちの話を聞いていると、医療職は一般企業と比べて特殊な部分が多いと感じました。

一般常識やルール、ビジネスマナーなど、医療職で働いている時には学べないことが多く、友人たちの話を聞いていると自分がどれほど、世間知らずかを思い知り急に恥ずかしくなりました。

そして「このまま医療職だけで、勤めていては視野が狭くなるかも。一般企業で働いて、視野を広げたい」と考えるようになりました。

規則正しい生活をしたい

看護師として働いていた時は、夜勤も残業も休日出勤も多く生活リズムを崩れていました。生活リズムが崩れることにより体調をよく崩していました。また私の 周りの看護師は結婚や出産を機に退職する人も多くおり「私はいつまで、看護師として働く事が出来るだろう?結婚をして、旦那さんが日勤帯の仕事に勤めている方なら、相手にも迷惑をかけるし、こんな不規則勤務で子育てと仕事を両立しながら働くことができるのかな?」と常に考えていました。そして結婚を機に保健師として働くことを決めました。

主人の疲労している姿を見て、会社に対して怒りが湧いてきた

自己紹介文の記事でも書いていますが、結婚した当初主人は営業をしており残業も多く社用車で県外に行くことも多々ありました。また宿泊を伴う出張も多かったです。今思えば残業時間も月40時間は超えていたと思います。

仕事が終わり家に帰って来たら、いつもぐったりしている主人を見て「会社は従業員の健康を考えているの?」「主人が倒れたらどうしよう」と怒りが湧いてきて、他企業の健康管理体制について調べていた時に、産業保健師や産業医の業務内容を知りました。

産業保健師という働き方があるのは、看護学生時代から何となくは知っていましたが産業保健師の業務内容の詳細については、知らない部分が多くありました。

そして早速、主人に会社の産業保健師の業務内容について尋ねてみると「知らないんだよね。そもそも顔も知らない。関わりないからね。」と言われ愕然としました。

「会社は何のために産業保健師を配置させてるの?そもそも、産業保健師として働いている人の顔を従業員が知らないのはおかしいのでは?産業保健師は何をしてるの?…そうだ!私が産業保健師になって主人の様な従業員の健康管理を支えればいいじゃん!」と思い産業保健師を目指しました。

産業保健師になるまでは相当苦労しました。

主人への愛と会社への怒りは私の原動力となり無事に産業保健師として働くことができました。

転職活動で重要視したこと

応募した数は10社以上

産業保健師を目指した理由については【産業保健師を目指した理由】【産業保健師になった経緯】の記事に記載しています。

https://healthnurse-yuchi.com/phn-24/565/

産業保健師を目指した時は、しっかりとした教育体制や健康管理に力を入れている企業に入り、基礎知識を身につけたい。年収も〇〇以上あるところがいい。家から近く通勤時間がかからない所がいい。などの理想がありました。

そして自分の希望に当てはまる募集があれば、すぐに履歴書を送っていました。

当たり前ですが、このような募集があれば皆応募したくなります。

そのため、倍率もとても高くなります。

企業側も、たくさん応募者がいれば足切りをせざるを得ません。

産業保健師未経験者より経験者の方が優遇されやすくなります。

書類選考も通過しないことも少なくありません。

自分の市場価値を理解する

「たまたま、応募者が多くて運が悪かっただけ!」「この企業とはご縁がなかっただけだな」と私はポジティブに考えていましたが、3社連続不合格の通知をもらった時に自分の市場価値とは?と考えるようになりました。

「こんな当たり前のこと分かってる笑」と思われる方は多いと思います。私も分かっていたつもりでいました。しかし、何も理解していなかったなと痛感しました。

現時点での自分のレベルでは企業側に求められない。ならどうすれば求められる存在になれるのか?と考えた時に1年でもいいから産業保健師としての経験を身につけるべきだと考え、産休代替や派遣などで募集している産業保健師求人を片っ端から調べました。

この時に、本当にお世話になったのがマイナビとMCナースでした。【おすすめの転職サイト】に利点を書いています。

けれども、なかなか産業保健師の求人が見つからず困っているとマイナビのエージェントが、ハローワークに学校保健師の求人があることを教えてくれました。

そして、学校保健師について色々調べていくと産業保健師の業務内容と似ている業務も多くあったため、すぐに応募して無事に内定を頂くことができました。

学校保健師についての記事は【学校保健師の業務内容とは?】【学校保健師の1日のスケジュール】に記載しています。

自分が重要視したいことを理解する

学校保健師として働かせて頂き本当に学びが多く人にも恵まれて充実していましたが、やっぱり産業保健師になることを諦めきれませんでした。

しかし、年収や通勤距離、業務内容など全てを求めて転職活動をしても、浅い経験しかない私はうまくいくとは限らないと理解していたため、本当に自分が重要視したいことは何か?ということに焦点を当てて転職活動をすることにしました。

私が、1番重要視したことは経験値でした。

理由としては、基礎知識がしっかりしていないと次のスキルアップも転職したときもあまり意味がないのでは?という考えがあったからです。

無事に教育体制が整っている企業に入社することができ、統括産業医や各事業所の産業医・産業保健師、本社の産業保健師たちなど人にも環境にも恵まれた中で、産業保健を学ぶことができました。

産業保健師に転職して良かった点

看護師として働いていたときよりも年収が増えた

看護師の年収は年齢、役職、大学卒、専門卒、残業手当、夜勤手当、都市部、地方等で変動があります。

私が地方で看護師として働いていたときの年収は、看護師2年目で年収420万前後でした。

私が看護師として働いていたときは、サービス残業は当たり前、休日出勤は当たり前…。という勤務をしていたので「こんなに頑張ってるんだから、もう少し給料ほしいな…。」とか「休日出勤もしてサービス残業もして、夜勤もして…ブラックだな…。」と常に考えており体も心もボロボロでした。

しかし、産業保健師になってからは日勤帯のみの勤務になり、生活リズムも整えることができました。また勤務管理を上司の方がしっかり管理してくれるため、サービス残業や休日出勤は無くなり、体も心もだいぶ楽になりました。

自由な時間が増えた

看護師として働いていたときも自由な時間が全く無かったわけではありませんが、私は看護師2年目で経験も浅いため業務の優先順位を、効率よく考えて業務をこなすことができませんでした。また、2年目になり研修発表会や委員会の出席、後輩の指導等の業務も増えたため、常に業務に追われていました。また、家に帰宅しても1日の業務の振り返りや、復習や予習をしていたため自分のリラックスできる自由な時間もあまりありませんでした。

産業保健師になってからは、自分のペースで仕事の優先順位をつけることができ業務に常に追われることは少なくなりました。また、残業時間も少なくなり家に帰宅してからも余裕を持つことができ1日の業務の振り返りや、復習や予習時間を設けることができました。

そのため、趣味の時間を作れたり自己啓発の時間も作ることができました。

精神的にも肉体的も楽になった

看護師として働いていたときは、自分が効率よく仕事をこなすことができず、常に業務に追われており自由な時間があまり確保することができませんでした。また、不規則な勤務形態であったため友人と遊ぶことも難しく、ストレスも溜まるばかりで肉体的にも精神的もボロボロでした。

産業保健師として働くようになり、日勤帯勤務であるため生活リズムも整えることができ友人とも遊ぶことができ、ストレスが溜まっても上手く発散することができました。

時期によっては、残業時間が増え精神的にも肉体的も疲れてしまうことがありますが、その時期をすぎれば再び穏やかな日常が過ごせるため、私はそれほど苦痛を感じることがありませんでした。

産業保健師として働けなかった場合

もし産業保健師として働けなかった場合
どうしていたかな?と考えてみました

特定保健指導員として働く

看護師としてICUで約2年働いていたときに、患者さんから「もっと、健康に気をつけておけば良かった」という言葉をたくさん聞いて、病気になる前に対処ができたら患者さんがこんなに苦しまなくてよかったのでは?と思うことが多々あり予防医療の大切さに気づきました。

特定保健指導では、対象者が自分の健康状態を振り返り、生活習慣の改善を目指していくことができるように、何をすればよいかを医療職がアドバイスしたり、対象者と一緒に考えていくことで、今後の健康障害のリスクを未然に防ぐことが可能になります。

この業務は、対象者1人1人に合った声かけがとても大切だと私は思います。そのためには、医療職の基礎知識やコミュニケーション能力のスキル向上はもちろん必要にもなりますし、対象者の背景や仕事内容、家庭環境など色んな情報を把握した上での声かけをする必要があります。

特定保健指導は、とてもやりがいがある仕事だと私は思います。

訪問看護師として働く

看護師として働いていた時に、残りの人生を自分らしく生きたいと望み、在宅看護に切り替わる患者さんを見てきました。

そして、患者さんが在宅に戻って少しでも自分らしく生きれるためにサポートできる立場って素敵だなと感じました。

患者さんが、いい人生だったと感じることが少しでもできるように、どのようなサポートが必要かを患者さんや、患者さんの家族とも一緒に考えて行動したり、アドバイスをしたりできます。

他者の人生を一緒に考えれる仕事は、そうそうないと私は思います。

訪問看護師以外にも、看護師は様々な働き方が可能です。

看護師という仕事も、本当に魅力的な仕事だと私は思います。

学校保健師として働く

大学にもよるとは思いますが学校保健師の業務内容は、産業保健師と似ている部分も多くとても勉強になりました。

教職員や学生との関わり方でコミュニケーション能力の大切さも学べましたし、保健師だよりを作成することで「どのようなことを書けば、皆が健康について興味を持ってくれるだろう?」と説明力の重要性についても学ぶことができました。

また、産業医と積極的に関わることで様々な知識や職場巡視のポイント、フィジカル面やメンタル面のフォローのポイントなどもたくさん教えてもらうことができました。

どのような業務でも、自分の考え方や行動次第でいくらでも学びは多くあると私は思います。

さいごに

私にとっては産業保健師に転職したことによって働きやすい環境となったため、とても産業保健師になれて良かったと感じました。しかし、産業保健師は本当に募集が少なく、離職率もさほど高くないため空きもありません。

なら、諦めようと考えるのではなく挑戦することが大切です。

そのためには、考えてばかりいるのではなく行動あるのみです。

産業保健師として働くなかで辛いことも苦労することもたくさんあります。これは人によっては精神的、肉体的に厳しい人もいるかと思います。どの職種でも言えることですが、向き不向きもあるかもしれませんが、私にとっては産業保健師が向いていたのかなと感じます。

私は看護師から産業保健師に転職し様々なことを学ぶことができました。まだまだ、産業保健師としての経験が浅く学ぶことがたくさんありますが、日々成長できている実感があり働くことに充実しております。今後も、産業保健について知識と経験を積んで従業員の心身の健康保持増進に努めていきたいと思います