産業保健師として働き始めて5年目になり業務が楽しく感じ、もっと知識を身につけようと日々前向きに過ごしていますが、産業保健師1年目の時はこのような気持ちになるまでは、時間がかかりました
理由としては、産業保健師の業務内容について、いまいち理解出来ず自分の知識不足や経験不足を痛感し空回りすることが多く、その度に「自分は何をしているだろう…」と落ち込んでいました
知識不足や経験不足は研修会に参加することや、自分の努力や行動次第で少しずつ改善することが可能になります
特に産業保健師1年目の時は業務内容が分からないことだけではなく、それ以上に大変だと感じたことがありました
具体的にどのようなことが大変だったか、その時、どのような対処をして乗り越えてきたかについて、書いていきたいと思います
会社が健康管理に興味がない
この悩みは、産業保健師の経験者なら誰もが経験したことがあると思います。
会社として法律上でしなければならない健康管理だけをしている会社は少なくありません。確かに、法律上の健康管理をしていれば特に問題はありません。しかしそれだけでは、従業員の心身の健康保持増進を支えることは難しくなります。
産業保健師は、会社側に法律上では補えていない健康管理を支援する立場でありますがそもそも会社が健康経営に興味を持っていない場合、産業保健師が意見を言ったところで「何を言ってるんだろう?法律上で必要なことを実施しているのだからいいじゃないか!」「自分たちがしている健康管理が間違っていると言いたいのか?」と思われてしまい、コミュニケーションを取りにくくなる可能性があります。
健康管理に興味がない従業員への保健指導
産業保健師の業務として保健指導は主な仕事内容です。企業にはたくさんの従業員が勤務しており様々な考え方の人がたくさんいます。中には健康管理に興味がない人もいます。例えば血圧が160−170台が去年から続いているにもかかわらず症状が出ていないため病院を受診していない従業員に対しての保健指導は大変です。保健師が指導しても病院受診しない従業員に対して緊急性が高い場合は産業医からの指示で受診を促したり、人事部に相談し人事部から所属長に本人へ病院受診させるように指示をすることができますが、他人から指示されて受診をしているので、本人が健康管理に対して興味を持っているわけではありません。このような場合、また再検査対象になった場合同じことを繰り返す可能性が高くなります。
健康イベントを会社の恒例行事にすること
会社で働いている従業員の健康保持増進のために健康イベントを実施することも産業保健師の業務の1つです。その中で、会社の恒例行事の健康イベントは従業員の参加率も高いですが、新規の健康イベントを実施した場合、参加率を高めるために従業員に声をかけたところで、参加率があまり上がらず1回のみで終わってしまうケースも少なくはありません。このようなケースが続いてしまうと、産業保健師も会社側も「1回のみのイベントで果たして実施した意味があったのだろうか?」モチベーションが下がってしまう可能性があります。
上司とのコミユニケーションの取り方
産業保健師は1人職場が多い職種です
そのため、同僚に相談したくても相談相手がいないため1人で悩むことが多い場合や、産業医に相談したくても会社の規模や事業内容で非常勤産業医を雇っているため、来社日数が少なく月1回しか相談が出来ない企業もあり、苦労している方も少なくないと思います
その場合は、上司に相談することになります
しかし、上司が多忙のためコミユニケーションを取る機会が少なくない場合や、そもそも産業保健師業務に興味がなく相談したくても「よく分からないから、思うようにしたら?」と言われることや、ハナから否定的な言葉を発言されることや「産業保健師1年目に会社の何が分かるの?」と言われてしまうこともあります
産業保健師として働き始めたばかりで、不安を感じている方にとって上司からこのような対応をされてしまうと、落ち込んでしまう方も多いと思います
上司との話し合いが上手くいっていない状況では、他部署と連携したくても話がまとまっていないため連携することが出来ません
どのように対処してきたか
この③つの内容を対処するために必要なことは共通している部分があります。
1.会社側が、健康管理のどの部分に1番興味があるのかを理解する。
2.健康管理がもたらすメリット・デメリットを数値化で表すなどわかりやすい説明を行う。
3.相手が行動を起こすまで待つまたは誘導する
まずは、企業が産業保健師に求めていることの把握から始めました
なぜ、このようなことから始めたかというと産業保健師が企業にとってプラスになると思っている業務がいくら正しかったとしても、企業側からしたら「別にその部分を産業保健師に求めている訳ではない…」と思っている可能性もあります
産業保健師が「必ず企業にとってプラスになる内容です!」と伝えても
まだ企業にとってプラスになる結果を残してないときは
話を聴いてくれない上司も少なくありません
そのため企業側の求めていることをしっかり聴取し、聴取した内容から従業員の心身の健康保持増進をサポートするために何が出来るかを判断して取り組むようにしていました
例えば、ホワイト500を取得したいという企業側の要望があればホワイト500の内容を把握し現時点で、企業にとって必要な取り組みから始めるように上司に伝え、その内容から従業員にとってプラスになる業務から取り組むようにしていました
さいごに
業務を行う上で、企業側から求められていることを行うことは当たり前ですが、求められている内容だけを行うだけでは産業保健師として成長していくことは難しいと思います
だからといって、自分の思いや意志を通すだけでは他部署や上司と連携することが出来ないと思います
産業保健師の役割は従業員の心身の健康保持増進をサポートすることだと思います
そのために、何が出来るかを考えて行動していくことが大切だと思います
産業保健師として今後も、成長していけるよう日々努力し行動していきたいと思います