新年度を迎え、新入社員に対しての面談やフォローで対応に困ったことはありませんか?
産業保健師としてフィジカル面やメンタル面についての講義を実施したり
新入社員1人1人と面談を行い
不調者を早期に発見するために勤めている企業も多いと思います
特に6月~7月ごろに研修期間を終えて
各部署に配属されるというケースも多いかと思います
配属後の環境の変化で不調となる方も多くみてきました
新入社員の方たちに
産業保健師の仕事内容を知ってもらうためにも
新入社員との関わりを持つことは大切ですが
どのような関わりが大切なのか?
どのような事に気をつければいいのか?
と悩まれる方も多いと思います
私自身も当初同じような悩みを抱えておりました
現在、産業保健師として働きだし5年目となり
新入社員に対して下記のポイントを意識していくようにすることで
新入社員と円滑にコミュニケーションを図ることができるようになったと感じました
意識していることは
- 話しやすい雰囲気を作る
- 1つ1つの発言や態度を見落とさない
- ただの雑談で終わらないようにする
この3点を意識することで
不調者を早期に発見して対応することができた場面もありました
また、新入社員が各部署に配属された後に実施している健康教育とメンタル教育として、以下のような取り組みを行っています
- 配属後半年後ぐらいに1人1人と新入社員面談実施
- ストレスコーピングの研修を実施
- 各部署の上司へ必要時面談内容をフィードバック
これらについて具体的にどのようなことを実施してきたか
詳しく書いていきたいと思います
新入社員との関わりで意識していること
話しやすい雰囲気を作る
新入社員に関わらず、従業員と関わる上で従業員の方が
「この保健師、何だか話しにくいな~」
と思われるような反応をされた場合
今後の関わりも難しくなってしまいます
このようにならないためにも従業員の方が
「この保健師になら相談してもいいかな?」
と思ってもらえるような対応をしなければなりません
そのためには、従業員に合わせた雰囲気作りが大切だと思います
ハキハキ明るく話す方が話しやすい従業員もいれば
穏やかに話をしっかり聞いてほしい従業員もいます
初回面談で、産業保健師が従業員の小さな反応を見落とさないで
その方に合った対応をしていく事が重要になります
このスキルを習得するためには
数をこなしていくことも大切ですが面談1つ1つを丁寧に対応していくことも大切です
1つ1つの発言や態度を見落とさない
新入社員の方と面談している中で
相手の些細な反応や発言や態度を見落とさないことが
メンタル面やフィジカル面の不調に気づく上で大切になってきます
そのためにも、アンテナを高く張り
「何でこのような発言をするのかな?」
「何だか、元気がないように思うけど」
と何か気になるという反応を見落とさないようにすることが大切です
面談中に、気になる新入社員がいれば必要な情報を
上司や産業医に相談しフォローを開始するなどの対応をすることが可能です
ただの雑談で終わらないようにする
話しやすい雰囲気を作ろう
まずは信頼関係を築くことを意識しようと考えて
面談することはとても大切だと思います
しかし、ただの雑談で終わってしまうこともあります
これでは、勿体無いと思います
私も、産業保健師1年目の時はコミュニケーションを意識しすぎて
ただの雑談で終わってしまったこともありました
雑談で終わるだけでも多少の利点はあるかもしれませんが
メンタル面、フィジカル面の不調者の早期発見にはならないと私は思いま
そのためにも、何のために面談を実施しているのかを理解して
面談を行うことが大事だと思います
新入社員が配属後に実施していること
配属後半年後ぐらいに1人1人と新入社員面談実施
配属されてだいぶ職場の雰囲気にも少しずつ慣れてきたかな?
と思うだいたい半年後にもう一度面談を実施するようにしていました
配属前の悩みとは違い、職場の人間関係の悩みであったり
業務内容での悩みなどを抱えています
新入社員の中には、既にメンタル面やフィジカル面に不調となっている方もいます
そのような方に対して
早めに気づきフォローしていくことで症状が悪化することを防いだりしていました
ストレスコーピングの研修を実施
学生の時には
自分はストレスなんて感じなかった方
ストレス対処ができていたという方でも
社会人になって学生の時とは違うストレスに対して
上手く対処出来なくなりメンタル不調になってしまう
ということも少なくありません
そのため配属前に1度メンタル教育を実施しますが
実際に自分がメンタル不調を経験していないせいか
どこかイメージがしにくく「ふーんそうなんだー」ぐらいの
気持ちで聞いている方は多いです
なので、配属後にもう一度メンタル教育を実施し
「この気持ち分かる!なるほどね!こういう時はこのように対処したらいいんだ」
と理解してもらうようにしていました
各部署の上司へ必要時面談内容をフィードバック
新入社員のセルフケア能力もとても大事ですが
働く上でラインによるケアもとても重要です
そのため、新入社員との面談内容でラインケアが必要なのでは?
と感じた内容については本人の許可を得て上司に報告するようにしていました
やはり、産業保健師が常に職場の状況を把握している訳では無いので
管理職の役割である部下管理をしっかりと行ってもらうことが大切だと思います
健康教育の実施
今までに何回か新入社員向けの健康講話をさせていただきました
その中で新入社員に対して必ず伝えていた健康教育の内容は下記になります
体内リズムについて
当たり前のことでは?って思われる方も多いと思いますが、意外と体内リズムが整っていない新入社員の方は多いです。
「学生の時から夜型人間になってしまって…朝起きれるか不安です。」という声を、私はよく聞きました。
体内リズムが乱れていると様々な症状を起こしやすくなります。
例えば、睡眠時間が不十分で日中に頭が回らないことや、不眠、食欲低下など様々あります。
新入社員は、環境の変化や新しい人間関係、新しい業務内容、試験など様々なストレス要因があります。
心と体のどちらも疲れていては、メンタル不調になる可能性も高いです。
そのために、規則正しい生活リズムを整える重要性を新入社員には、伝えるようにしていました。
セルフケア方法について
先程も記載した通り新入社員たちは、新しい環境や人間関係の構築、仕事に対する期待など様々なストレス要因があります。
辛いことだけではなく、嬉しいこともストレスになります。
このストレスに対して、どれだけ対応できるかが大切だと私は思います。
そのために、大事なことは自分で自分をケアするセルフケア能力です。
講話の時は、新入社員の緊張を解すためにストレス発散方法を発表してもらったり、実際に筋弛緩法や、呼吸方法、2人1組になってのセルフケア方法など様々なセルフケア方法を教えたりしていました。
産業保健師についての説明
社会人1年目は、学生の時とは違うプレッシャーや責任感がたくさんあり、セルフケアだけでは、乗り越えることが出来ない事も少なくありません。
上司や先輩、同期にはあまり相談しにくいな…と思う人もいます。
その時は、1人で抱え込まずに産業保健師を頼るように説明します。
産業保健師の役割について説明することで、頼れる人がいるんだぁ。という安心感を持ってもらえる可能性もあると思います。
産業保健師について、ダラダラと説明するのではなく、簡単な説明だけに講話では留めておき、産業保健師の業務内容の詳細については、冊子などにまとめて配布するようにしていました。
外部によるケア
EAPを活用している企業であればEAPの利用方法の説明をします。
自分の心身の変化は自分しか気づけない場合もあります。そのため「あれ?おかしいな?いつもと体調が違うな?」と気づいた時には、早めに病院を受診するように伝えていました。
「ただ疲れてるだけで、まだまだ大丈夫だろう。」「病院に行きたくないなぁ…体調不良も気のせいだろう」と自己判断することは避けるようにとも伝えていました。
やはり早期発見、早期治療に勝るものはないと私は思います。
メンタルフォローで必ず伝えていること
心身のコンディションに意識を向ける
本人のメンタル不調に周りが気づく場合もあります
しかし、自分でしか心身の不調に気づけない症状もあります
そのためにも、自分自身の心身の健康な状態を理解しておくことが大切だと伝えています
ただでさえ、初めての社会人で初めて職場で緊張もあります
そのため、ミスが増えてきた・感情の起伏が激しくなってきたなど自分の小さな変化を見落としてしまう可能性が高くなります
早期に自分の症状に気づいていれば症状が悪化せずに済んでいたという場合もあります
このような状況に陥らないためにも、普段の自分と違うなと小さな変化に気づいて対処していくことが重要だと思います
セルフケア(認知行動療法)について理解すること
自分のメンタル不調に気づいた時、自分で対処できる範囲であればあまり問題はありません
しかし自分で自分のストレス対処法が分からないという場合、どのような対処をしていくかを考える必要があります
ストレス発散のために運動をしたり、人に相談したりするなど自分のセルフケアについて理解しておくことが大切だと思います
現在リモートワークも普及してきて、親しい友人に会わない日々が続いています
また、自粛により上手くストレスが発散出来ないことや在宅ワークが長く続いて直接人と会ってコミュニケーションをとる機会も激減し、ストレス発散が上手くいかない人も増えてきています
そのため、自分のセルフケアを理解しておくことが重要だと思います
振り返りの機会をつくる
メンタル不調の方の中には、原因が本人の場合というパターンも少なくありません
原因が本人というのは、自分に非があるにも関わらず人のせいにしたり環境のせいにしている方や、ただのワガママを言っているだけの方もいます
このような方たちには、必ず振り返りを行うことが大切だと思います
何故メンタル不調を生じてしまったのか、自分はどのような行動をしていたかを振り返り、何が原因でその原因を繰り返さないためには自分は何をすればいいかを考え行動に移すことを促すフォローが必要だと思います
ただ単に、メンタル不調をしているからという理由でワガママを言っているにも関わらず本人のワガママを認めてしまっては、同じ状況に陥った時に周りの職場の方も呆れてしまい、ラインケアは成立しないと思います
産業保健職は、メンタル不調者に対して適切なフォローを行うことが重要だと思います
さいごに
新入社員への面談は、産業保健師として働き始めた方には
面談に慣れるいい機会だと思います
私も、産業保健師1年目や2年目は若い従業員の方の面談を何件も実施して
面談に慣れるようにしていました
しかし、面談に慣れるだけではあまり意味が無いと私は思います
そのためにも
日頃の業務から丁寧に対応していき常にアンテナを高く張り業務をこなしていくことが大切だと思います
また、新入社員の離職率を気にかけている企業は多いです
日々の業務でそこまで手が回らないという方は
1度上司や人事部などと相談し
どの年代のメンタル面やフィジカル面を強化していきたいか話をするのもいいと思います
私もまだまだ、知識不足や経験不足を痛感する毎日ですが
少しでも成長していけるように努力していきたいと思います