仕事について

孤独な産業保健師|一人と複数人どちらが働きやすいか/一人でもできること

産業保健師は1人職場で働く場合や複数人の産業保健師と働く2パターンがあります。
まず、結論からいうと私は1人職場の方が働きやすかったです

産業保健師の業務は
健康診断結果で数値が悪かった従業員に対して保健指導を実施したり
自分の心身の健康について考えてもらうために健康教育やイベントを実施したり
従業員が働く職場を巡視し健康課題を見つけたりなど様々な活動をしています

しかし、産業保健師は1人職場も多く日々の事務作業に追われ再検査の受診勧奨や保健指導までは何とか実施できるけど、健康教育なんてできないよ……という産業保健師も多いです

私も1人職場で働いていた時は、事務作業や保健指導や再検査対応、長時間残業面談、海外赴任者フォローまでが何とか1人で行い+α心の余裕や時間の余裕があれば健康教育を実施するという状況で健康教育を実施するのは非常に難しかったです

しかし、従業員の健康診断結果を確認していくうちに「従業員は〇〇のデータが悪いな……1度全従業員に対して健康教育を実施した方がいいのかな……」「仕事に責任感があり自分の健康管理がおろそかになっているな…このような状況が続いているといつか倒れてしまう…そうなる前に誰かが声をあげないといけないのでは?」と思いが募るばかりでした

そして、健康教育の代わりに1人のマンパワーでもできる範囲の保健師だよりなどを用いて下記のような対応をして従業員に健康教育を実施していました

私が実施した内容は

  • 安全衛生委員会の場を利用し健康課題や従業員のメンタル状況について説明
  • 各部署の管理職に保健師だよりを配布し部下の方にも目を通すように伝えてもらう
  • 全従業員が確認出来る掲示板に保健師だよりを掲載

1人職場で働いて私にもこの作業ぐらいは実施できました

「保健師だよりを作っても誰も見ないのでは?」と悲観的な意見もあると思いますがまずは行動しないと何も始まりません

従業員の目にとまらないのであれば、興味を持ってもらうために何をすればよいのか?と考え行動すればいいだけの話です

行動するためには、時間もマンパワーも必要になります

そのためにも業務改善について人事部や総務部、上司や同僚と話し合う必要があります

しかし、会社全体が健康についてどこまで真剣に向き合っているかで結果は変わってきます

保健師が声をあげることも大切ですが、会社全体で足並みをそろえて行動していくことが1番大切だと思います

1人職場と複数職場どちらが働きやすい?

自分のペースで仕事が進められる

自分のペースで仕事ができるのは仕事をする上で、重要視している方は多いのではないでしょうか。

私はチームで仕事をするのは嫌いという意味ではないのですが、チーム全員が同じ目標を掲げて協力し切磋琢磨しながら業務をこなすことは難しいと感じています。

その理由は、人には仕事のペースがあるからです。

仕事を効率よくさばいて業務を行う人や、1つの1つの業務に、じっくり時間をかけて業務を行う方など様々です。

業務を振り分けて役割分担をして業務を行う方法もありますが、やはり個人差が出てくるので結局は業務量を見直す事になり負担がかかる方も出てきてしまいます。

仕事の負荷がかかる人からしたら、このような現状に不満を感じる人は少ないと思います。

仕事に対する価値観の違い

仕事に対する価値観は人それぞれ違います。家庭の時間を優先したい方、スキルアップを目指している方、給料を優先したい方など様々です。

複数人いる職場で、自分の仕事に対する価値観を押し付けるのは違うと私は思います。あくまでもチームで仕事をしているということが大前提です。

しかし1人職場だと、自分の価値観で仕事をこなしていくことができます。スキルアップを目指している方は、研修会に参加したり基礎知識や経験値を身につけることも可能です。

また、人事労務担当者や他部署と連携し健康管理体制について意見交交換しながら、従業員の健康保持増進のために日々成長していくことができます。

このような行動は、複数職場で勤めている産業保健師全員がスキルアップを目指して、従業員にとってよりよい健康管理体制を作っていきたいと思っていることが大切ですが、価値観は人それぞれなので難しいところもあると思います。

私は実際に、複数職場で働いている時に価値観の違いで苦労したこともありました。

人間関係の煩わしさがない

仕事で1番人間関係を大切にしている人は多いと思います。

人間関係は私も大事だと思います。

毎日顔を合わせなければならない同僚と、ギクシャクした関係は耐えれないと思います。

複数職場で働いていた時は、産業保健師同士の意見の食い違いで、仕事が進みにくくなることも少なくありませんでした。

しかし1人職場だと自分自身の知識や経験を活かしながら、どの様に健康管理をしていくか、どうしたら従業員の健康保持増進ができるかを自ら築いていくことも可能です。

また、1人職場ですので、周りに気を遣う必要もないためストレスフリーな職場環境ともいえます。

1人職場でもできること

安全衛生委員会の場を利用し健康課題や従業員のメンタル状況について説明

安全衛生委員会の場は、産業保健師の活動内容や現在の健康課題を発表する絶好の場所だと思います

せっかくのチャンスの場所で黙って座っているだけでは、もったいないと思います

そのため、産業保健師の発表時間を設けてもらい必ず現状を報告するようにしていました

そして、議事録に内容を残してもらい各部署の管理職に確認してもらうようにしていました

このような作業であれば、1人職場で働いている産業保健師の方も実施できるかなと思います

毎月開催される安全衛生委員会の場でその月の旬な話題や会社で問題になっていることなど、話す内容を変えて少しでも従業員が耳を傾けてくれる内容にすることを意識していました

各部署の管理職に保健師だよりを配布し部下の方にも目を通すように伝えてもらう

欲を言えば、保健師だよりではなく健康診断結果のデータで数値が悪い項目について健康教育を実施したり、全従業員に対してアンケートを実施し、何の健康教育を実施してもらいたいか、健康についてどのような悩みがあるかを確認し実施したりすることが良い方法だと思います

しかし、業務量や従業員数にもよりますが1人職場でここまで実施するのは現実的に難しいのかな?と思います

そのため、管理職に対して保健師だよりを直接部署に出向いて配布し部下たちにも目を通すように伝えてもらっていました

上司から言われた内容の方がよく聞いてくれる従業員も少なくないので、管理職に対して部下の健康管理の意味も含め協力してもらっていました

また各部署に配布する際は直接手渡しで渡すようにも意識していました

そうすることで職場巡視もできますし、保健師の役割や自分の名前を覚えてもらえる機会にもなります

何度も伝えていますがまずは行動することがとても大切だと思います

全従業員が確認出来る掲示板に保健師だよりを掲載

上記の2点の内容を実施するのも無理!そんな時間も作れない!という場合は、全従業員が目を通す掲示板に保健師だよりを掲載していました

しかし、掲載していることをメールで周知しても見てくれる従業員の数はかなり少ないです

作業としては上記の2点よりも楽になりますが「これを作成しても意味あるのかな?」と落ち込んでしまうことも多々ありました

多忙でという気持ちもよく分かりますが、私は最終手段としてしかこの方法を活用しませんでした

さいごに

1人職場と複数職場で働いてみて
1人職場の方が気が楽で良いなと感じてはいますが
複数人で働く職場も求められることが増えやりがいがとてもあると思います

1人職場の場合
1人だし、不慣れだし、事務作業が多くて忙しい!という気持ちはよく分かります
しかし、忙しいという言葉で全て解決していたら何も変化はないと思います

忙しいのであれば、なぜ忙しいのかどうすれば業務を効率よくさばくことができるのか解決策を考えて行動することが大切だと思います