企業は従業員に対して健康診断を定期的に受けさせる必要があります
保健師は健康診断を実施するにあたり、計画や準備が大切になってきます
何年も経験している人であれば、毎年のことなので手順は理解していると思います
この記事は
これから保健師を目指す人、保健師になったばかりの人にとっては手順があっているのか、抜けがないか心配になることがあると思います
そのような人の参考になるかと思います
産業保健師は健康診断の結果から従業員の健康状態を把握し、従業員1人1に必要な保健指導を実施することや
健康教育や健康イベントの企画立案などを行い従業員の心身の健康保持増進をサポートしていきます
そのため、健康診断はとても大切です
保健師が健康診断の時にすることは
- 健康診断の各準備
- 健康診断の実施対応
- 健康診断の結果の確認
- 健康診断の結果を基に保健指導
大きく分けてこのように対応していきます
年間の計画としては次のように私は実施をしていました
人によってもっとタイトに計画を組むかもしれませんが、私は余裕をもってしたいのでこのように計画しています
※例は9月に健康診断を実施する場合です
企業によってすべて産業保健師に任せるところもあるので、健康診断の流れを把握しておくことで余裕をもって準備を進めていければいいと思います
健康診断の各準備
健康診断の準備にはこれらのことが必要となります
- 健康診断の検査項目、人数などの把握
- 健康診断業者の選定
- 健康診断業者と打ち合わせ
9月に実施する場合は1月頃から準備を始めています
健康診断の8ヶ月前から準備を進めていました
健康診断の検査項目、人数などの把握
健康診断には、一般健康診断と特殊健康診断があります
一般健康診断は、年代によって検査項目が異なるが、ほとんど変わらなく皆受診する必要がありますので、検査項目や人数の把握はそれほど手間にならないと思います
特殊健康診断の場合、事業所で取り扱っている薬品、作業環境によって検査項目が異なるため、昨年の実績などを確認しながら
職場の管理者に確認を取りながら、検査項目と人数を把握する必要があります
健康診断の実施をいつぐらいにするかも目途を付けておくことも必要です
複数の検診業者に見積要請して、業者選定
具体的に健康診断の内容が確認できたら、複数の健康診断業者に見積を要請します
企業には予算があるため、それに見合った予算で実施する必要があります
また、繁忙期による対応可否、業者の対応の良し悪しなどもあると思うので、複数の業者から見積を要請して精査する必要があります
見積価格も安ければいいのではなく、見積の内容も精査して、健康診断を実施するにあたり不都合なことが起きないか確認する必要があります
例えば、人数を何人手配するか、一日当たり何人の対応するかは確認が必要です
健康診断の業者も見積価格を抑えるために、いろいろ検討していただいておりますが、本当にこの内容でできるのかなと考えることも必要です
業者決定後の打ち合わせ
健康診断を実施する前に打ち合わせをしておき、当日困らないように段取りする必要があります
業者と確認することはこのようなことがあります
- 作業責任者、作業員の名簿確認
- 実施日の決定
- 当日の流れ
- 一日の対応人数、検査項目の確認
- 新入社員の追加などが必要の場合に調整
- 現場の事前確認(休憩所の確認、100V、200Vの電源確認など)
- 自社で準備するものの確認
- 業者で準備するものの確認
- レントゲン車の搬入経路
- 企業毎の注意事項の説明
また、問診票をどのようにして配布してもらうのかも一応確認しています
部署ごとに問診票を分けてもらえるように確認しておきます
これらを産業保健スッタフで部署ごとに分けていくのはとても時間がかかります
そのため、問診票をすでに各部署ごとに分けた状態で検診業者に渡してもらうように説明していました
健康診断の実施対応
準備を丁寧にしておけば、後は当日は段取り通り進めていくことになります
健康診断の当日は毎朝ミーティングをして、その日の予定や注意事項を確認して作業開始となります
健康診断中は適宜作業状況と作業責任者に確認をして、進捗管理をしていきます
健康診断の結果の確認
健康診断の結果は、人数にもよりますが凡そ2週間~4週間程で結果が届きます
健康診断の結果が届き次第、結果を確認していきます
健康診断の結果を確認する際は
- 緊急性の高い従業員
- 要経過観察の従業員
- 一般の保健指導で良い従業員
に分けていきます
「緊急性が高い従業員」「要経過観察の従業員」に対しては、なるべく早く保健指導を実施することが大切なので
健康診断の結果が届いたら、これらに該当する従業員をピックアップしていきます
緊急性の高い従業員
現在の健康状態で勤務することで身体の危険を伴うリスクが高いと判断された従業員
直ちに病院受診をしてもらうように伝える
病院受診を拒否するなどの行為が見られた場合、上司もしくは産業医から直接受診勧奨を実施し、場合によっては就業制限をかけることもある
要経過観察の従業員
直ちに病院受診をすすめる必要性はないが、現在と同じような生活習慣を続けていると、数値が悪化する危険性がある従業員
まずは、保健師による保健指導を実施3ヶ月後6ヶ月後とフォローしていき、従業員が自らの生活習慣を振り返ることができるように指導する
一般の保健指導で良い従業員
健康診断結果の数値が年々悪化している従業員にたいして、1度保健指導を実施し、現在の生活習慣を見直していくように指導する
健康診断の結果を基に保健指導
健康診断の結果から「緊急性が高い従業員」「要経過観察の従業員」であると判断した従業員は、健康診断の結果が届いて6週間以内には保健指導を実施しています
また、あまりにも結果が悪い場合は、健康診断を実施しているときに予めデータがどのくらいか聞いていることもあります
その場合は届き次第なるべく早く保健指導をしています
「要経過観察の従業員」の従業員も早めに保健指導をして、3ヶ月後・6ヶ月後に再度保健指導を実施して経過を観察します
その他、特に異常のない、許容範囲以内の従業員に関しては、年度末を目途に保健指導を順次実施していきます
さいごに
このように、健康診断が終わってもすぐに、次年度の準備が必要となるため事前の準備が大切になってきます
事前の準備を怠らなければ、焦りや間違いが減るので準備は入念に行っています
本来であれば、産業保健職ではなく人事部または総務部が検診業者の見積もりなどをしているところが多いと思います
しかし、健康診断がどのような流れで実施しているのかを理解していることで
健康診断があるため何月までにこの業務は仕上げておこう
など、年間の業務計画も立てやすくなると思います
計画を立てて円滑に業務をこなしていきましょう