統計学の基礎的なところは、前回の記事で統計学についてを書きましたが、さらに保健師の業務内容に関連してイメージしやすいように書いてみたいなと思いました。今回は統計についてよりも、データの見方、データを整理していくことなどデータを扱うことについてイメージしやすくしてもらえればと思います。
産業保健師が取り扱うデータは主に、健康診断結果およびストレスチェックの結果などがあり、データをどのようにみていくか、その数値をどのように判断していくか考える必要があると思います。
健康診断のデータを用いた例
では、健康診断の結果で次のようなデータの社員がいる場合を考えます。
このようなデータを見たときどのように思いましたか?一般的には「やや肥満」という結果だと思います。しかし、これだけではあまりにも情報が少なすぎますよね?私もこれだけでは判断ができないため、次のようにその他の情報はどうなのか気になります。
大きく分けてこれらのことがまず知りたいです。
①その他の健康診断結果はどうなのかな?
②生活習慣は?
③いろいろなデータを比較してどうかな?
①その他の健康診断の結果
もちろん肥満気味の人はその他の健康診断の結果に表れることもあります。例えば上の図のように血圧、中性脂肪、コレステロール、身長体重、腹囲などを見ることになると思います。今回はこれらの詳しい相関は控えさせてもらいますが、まずこれらのデータを取り出して異常な値はないか比較します。
例えば筋トレが好きな人であれば筋肉量によりBMIの値が高目にでることもあります。そのため、BMIが高い=肥満という判断をすぐにしてはいけないということになります。
近年では、筋トレが流行っていることもあり、このような人たちに肥満だから面談しますってなるというと「なんで?」ってなりますよね。実際このようなことを他の保健師がやっているのを見かけたことがあります・・・
②生活習慣
では、その他の健康診断の結果を確認した後に実際に肥満傾向かなと思った場合、次に原因は何か、どのような面談が必要かな?と考えます。そのため、残業時間、運動習慣、飲酒関係や喫煙関係などの生活習慣を確認する必要があります。
例えば残業時間がとても多い従業員の方がいた場合、残業時間が多く取られることによって運動する時間が少なくなったり、食生活が乱れたりなどが考えられます。そのため、一概に原因がその人だけの問題ではなく会社側にも改善する余地があるかなど難しい場合があります。これらのデータを踏まえて、保健指導で実際に面談して話を聞いて一緒に考えていくことが大切であると感じます。
③集計データなどの比較
個人のデータだけでは見えずらところがあると思います。その時に、個人で健康診断の結果と企業の集計データや全国の平均データを比較すると別の角度から見えることもあります。企業全体として結果が良くない場合などは、会社全体に情報発信する必要もあるかと思います。
また、今回のBMIについては過去の個人の健康診断の結果を比較することは大切です。例えば、去年と比較してBMIが改善傾向にある場合、面談時に必要な言葉としては、「ダイエットを頑張れ!」ではなく、「ダイエット頑張っているんだね」とかける言葉も変わってくると思います。今までの記事で面談時には、コミュニケーションが大切であると言ってきましたが、このような声掛け一つでも保健師に対しするイメージが変わってくると思います。
さいごに
産業保健師の仕事は従業員の健康を管理して、適切なアドバイスをしていくことです。保健指導は重要な仕事内容の一つであるため、面談時にいかに話を聞いてもらうことができるかは、面談対象者について知ることが必要です。日々の業務が忙しいですが、これらは欠かさず確認しなければならないと思います。
今回はデータを扱うことについて書かせてもらいましたが、実際に業務していくとデータの集計やデータを比較することが必要となり、この時にデータを統計する必要がでてきます。
データや統計などというと難しく感じてしまいますが、保健指導していくなかでどのような面談が必要か考える指標になってくると思います。そのため、私も統計などは苦手ですが、日々勉強しながら、頑張りたいと思います。