仕事について

再検査の受診勧奨をしてもなかなか受診してくれない|従業員にどのような対応をしている?

健康診断結果で、検査数値が悪くこのまま放置して就業を続けた場合、健康障害を及ぼす可能性がある従業員に対して、再検査受診勧奨を産業保健師は実施しています

しかし、再検査受診勧奨をしている最中に従業員から病院受診を強く拒否されてしまい対応に困ったという経験がある人も多いと思います

私自身「従業員のことを心配しているのにどうして再検査をしてくれないんだろう?」と悩んだことも多くありました

再検査を受診しない従業員の理由としては

  • 病院が嫌い(治療開始して、内服が始まるのが嫌)
  • 多忙により病院受診している時間がない(休日はゆっくりしたい)
  • 治療不要と医師に判断された場合受診料が勿体ない

このような理由が従業員から言われることが多くありました

確かに従業員の気持ちもよく分かります 

しかし、産業保健師の立場は働く人の心身の保持増進をする立場として「受診したくないなら仕方ないよね」で済ませることは避けたいです  

そのため、私が受診勧奨をした際強く拒否がある従業員に対しては

  • 次年度の健康診断の受診日の確認
  • 過去の受診歴の確認
  • 緊急度が高い従業員に対しては上司、または産業医からの指導

上記の内容で忘れてはいけないことは、決して自己判断せず必ず産業医に報告し指示をもらうことを忘れないことです

このことを踏まえたうえで、どのようなことを意識して受診勧奨を行っているのかについて書いていきたいと思います

次年度の健康診断受診日を確認

健康診断結果で早急に病院受診が必要なほどデータが悪化している従業員に対しては、必ず受診してもらうように伝えています

しかし、まずは生活習慣を見直す必要がある従業員に対しては、3ヶ月後もしくは半年後に再度受診勧奨をするようにしています

それでも病院受診を今年度中にすることに強い拒否を示す従業員も中にはいます

このような従業員に対しては、次年度の健康診断を早めに(4月~6月の間)受診するように声掛けをしています

そして、従業員と保健師の会話のやり取りを必ず記録に残し産業医に報告するようにしています

過去の受診歴を確認

過去に健康診断結果で検査データが悪く、保健師から再検査を受診するように指示があったが1度も受診していない従業員と、1度は受診歴がある従業員なのかを把握します

1度も受診したことがない従業員に対しては、必ず受診をするように説明します

強い拒否を示すようであれば上司または産業医から受診をするように説明してもらいます

1度受診をしたことがある従業員に対しては

①何年前に受診歴があるのか

②データの経年変化の確認(年々データ悪化が見られるのか、もしくはデータ変化があまりないなのか)

③受診した際、主治医よりどのようなコメントや診断をされたのかを聴取

これらを聴取した上で産業医に報告し、どのような対応をするべきかの指示をもらうようにしています

緊急度が高い従業員に対しては上司、または産業医からの指導

健康診断結果の数値が明らかに悪く、このまま就業を続けた場合、健康障害を及ぼす危険性が高い従業員から再検査受診を拒否された場合は、上司または産業医から指導してもらい場合によっては就業制限をかけることもあります

従業員の中には「何で身体に異常を感じていないのに、ここまでされるの?」と言われる方もいます

しかし、何か起こってからでは遅いです

このことを十分に従業員に対して説明し、必ず記録に残すようにしています

さいごに

再検査受診勧奨は色々な方法がありますが、大事なことは伝え方なのかなと思います

「貴方のことを心配して、受診勧奨をしてあげているのに何で受診してくれないの?」という伝え方ではなく、「体調に変化がないか、心配で連絡をした」という風に伝えるように意識しています

そのためにも、日頃から積極的に従業員とコミュニケーションを取るようにして従業員の方から「健康診断結果が、あまり良くなくって…受診した方がいいよね?」と言ってくれるような関係性を築くことが大切だと思います

産業保健師の業務は、これが正しい正解と言う事が難しい職業だと思います 

しかし、やればやるほどやりがいを感じれる職業です

まだまだ知識不足を痛感する日々ですが、少しずつでも成長していけるように努力し行動していきたいと思います