仕事について

両立支援について

産業保健師として働き出してから、両立支援という言葉をよく聞きます

例えば子育てとの両立支援、がん治療との両立支援、介護との両立支援、不妊治療との両立支援などです

そのために、時短勤務や在宅ワークなどの制度を取り入れている企業も多くあります

産業保健師として今まで働いてきた企業でも、両立支援に関わる場面がありました

現在働いている企業では、両立支援制度が一応は整っています

しかし「せっかく制度はあるのに、上手く機能できていないように感じるね」という話を人事部と話すことが多いです

今回は、このようなことが生じてしまう理由について私の考えを書いていきたいと思います

両立支援とは

両立支援の取組みとは、従業員の仕事と家庭 (育児・介護など)との両立を企業が支援するこ とで、従業員が働きやすい職場環境を整えるた めの取組みです。例えば、従業員が子どもを産 み育てながら仕事を続けるために、また親の介 護をしながら仕事を続けるために、休業制度を 導入したり、働く時間に柔軟性をもたせるなど、 仕事以外の時間の確保が必要な従業員が働きや すい環境を整備することで、従業員が辞めるこ となく働き続け、長く活躍してもらうことが可 能になります。またそのような環境は、その他 の従業員にとっても働きやすい環境となります。 両立支援の取組みとは、有能な従業員を確保し、 定着を図るための、企業・従業員双方にとってメ リットのある取組みなのです。 

引用文献;厚生労働省ホームページ

制度の認知度が低い

そもそも、両立支援をしている従業員の数の割合が圧倒的に少なく、制度についてい従業員がいまいち理解していないという理由があるのでは?と感じています

実際に従業員に対して、健康相談を行った際、不妊治療やがん治療をしながら、働いている従業員もたくさんいます

このような従業員たちに両立支援について説明した時に「え?そんな制度あったの?いつから?知らなかった」「制度があるのは知ってるけど、実際に利用している人の話をあまり聞かないからよく分からないんだよね」という言葉をたくさん聞くことが多かったです

その場合、両立支援についての情報を文面やパンフレットを用いて説明はしますが、やはり文面だけではイメージがつきにくいという言葉も聞きました

また、制度を利用している従業員も少ないため経験談も少なく「本当にこの制度を利用して、楽になるのかな?」と二の足を踏んでしまう従業員もいました

治療していることを知られたくない

従業員の中には、不妊治療をしていることやがん治療や介護をしながら働いていることを、他の従業員に知られたくないと思われている方もいます

理由としては、同情されたくない・人事評価に影響してしまうのではないかと心配などという声もありました

このように、誤った認識になってしまうのも制度自体をあまり理解していないことも理由の1つであるのでは?と感じています

そのためには、従業員が制度について正しい理解をしてもらえるようにプレゼンテーションなどをする必要があると感じています

時短を利用しても業務内容は変わらない

人員不足や、部署のマンパワー不足により時短勤務をしている方の業務量がフルタイム勤務していた業務量と変わらないという意見を従業員の方からよく聞きました

また、周りの方へ迷惑をかけてしまうのでは?という申し訳なさから残業しているという従業員の方もいました

このような理由から「こんなことなら、時短勤務にする必要無かった」と悲しい意見も聞くことがあります

中には残念なことに、やっぱり両立は難しいと感じてしまい退職された従業員もいました

さいごに

両立支援の制度を見直す、または制度を充実させることも大事だと思いますが、まずは従業員に両立支援制度について正しい理解を持ってもらうことが必要だと思います

そして、両立支援制度を利用する従業員が増えてきた後に制度を見直したり改善していくのでもいいのでは?と私は思います

そのために、産業保健師である自分も制度について正しい理解をしておくことも必要であると同時に、仕事との両立が困難で困っている従業員を把握する必要があると思います

そのためには、自ら積極的に従業員とコミュニケーションを図っていき、従業員が「困ったな…ちょっと保健師に相談してみようかな?」と思ってもらえる存在になれることが理想だと思います

産業保健師として働いてきて、知識不足や経験不足を痛感することが多々あります

しかし落ち込んでいるだけでは意味が無いので、少しずつでも成長できるよう日々努力し行動に移していきたいと思います