仕事について

職場巡視の時に見るポイント

産業保健師として働いている方の中には「職場巡視ってどこに注目したらいいの?」「職場巡視の目的は?」「職場巡視って産業医がする業務では?」と悩んでいる方も少なくないと思います。

私も、産業保健師として働き始めた当初は産業医に同行して職場巡視を月1回実施していました。

当時は産業保健師は職場巡視って言う業務もするんだなとしか考えておらず、職場巡視中も何に着目すべきなのかが分かっていませんでした。職場巡視中も「従業員の方はこういうところで作業してるんだな。大変だな」としか思えておらず、折角の職場巡視をうまく活用できていなかったです。

今回は職場巡視の利点について書いていきたいと思います。

職場巡視とは

作業環境を実際に見て、安全衛生 上の問題点を見出し改善していくことを目的として います。事業者は産業医に対して、職場巡視を実施 する機会と情報を提供しなければなりません。産業 医としても、作業の現場を実際に訪問して定期的に 巡視することで、作業環境管理、作業管理、さらに は健康管理を有機的に結び付けることが可能となり、 職場に起因した健康上の課題の改善につなげること ができます。また、産業医が職場巡視を通して業務 内容の理解を深めておくことは、労働者の適正配置 の判断にとても役に立ちますし、職場の風土や企業 自体への理解にもつながります。つまり、産業医に とって職場巡視は、労働者や職場を深く理解するた めの一種の「職場の診察」のようなものである 

引用文献;産業21-80号

百聞は一見にしかず

実際に従業員が働いている職場を目で見ることは、本当に大切だと思います。

健康診断結果のデータ基にして「〇〇のデータが悪いから従業員に必要なことは△△だな。今回の健康イベントは△△にしよう」と考えるのも悪くはないですが、データだけに囚われていては、頭でっかちになってしまう可能性があります。

〇〇のデータが悪い理由は職場環境、業務内容によるものかもしれません。

実際に現場を見ていないのに、憶測だけで目標を立てても従業員からしたら「〇〇のデータが悪い?そんなこと分かってるよ。けれど仕方ないじゃん。何も知らないくせに」と思われる可能性もあります。現場を見ることで、本当の健康課題も明確にすることができます。

産業保健師(自分)について知ってもらう

産業保健師の存在を知ってもらうことは、私は重要だと思います。認知度が低い場合、従業員から相談や意見交換する機会は少なくなると思います。

その理由として「産業保健師って実際どんなことをしているの?」「そもそも、どんな人が働いているんだろう?」と分からない部分が多い人に対して相談を積極的にしたいと思われる方は、あまりいないと思います。

そのため、従業員の業務の支障にならない程度に職場巡視をして積極的にコミュニケーションを図り、自分の存在を認知してもらうことが大切です。

さいごに

職場巡視をもう少し詳しく知りたいと思われてる方はこの本がおすすめです。

職場巡視について詳しく書いているのでぜひ読んでいただければと思います。

産業保健師で働いている方の中には、健康管理棟のような建屋で働いている方やどこかの部署に所属している方など様々だと思います。フィジカル面やメンタル面で不調をきたしている従業員とはコミュニケーションをとることはできますが、心身ともに健康の従業員と関わるためには自ら行動しなければコミュニケーションを取ることは難しいと思います。

まずは自ら進んで行動し、産業保健師として働いている自分を従業員に認知してもらい従業員の健康保持増進を支えていける存在になることが大切だと私は思います。

各部署を1人で職場巡視するのは勇気がいる行動ですが、行動しなければ現場の状況は分かりません。産業保健の基礎知識を身につけるのはもちろん必要ですが、頭でっかちになってしまってはもったいないです。

私もまだまだ、失敗が多い毎日ですが自ら行動し視野を広げていけるよう日々精進していきたいと思います。