保健師NEWS

産業保健師からの視点からみたCOVID-19について

今年の始めよりCOVID-19(新型コロナウイルス)の流行とともに、各企業の働きかたが見直しをされているかと思います。例えば在宅ワークを導入や時差出勤、デスクの配置転換を見直したりなど様々な対応をしている企業も多くあると思います。

産業保健師についても同様に働き方の変化や、保健指導などの変化が見られました。今回はCOVID-19の流行に伴い私の周りで起きた変化などについて書いていきたいと思います。

会社側の健康意識の変化

COVID-19が流行したことにより、私の会社では感染予防や健康保持増進の重要性を会社側がより意識するようになりました。

以前までは、健康イベントや感染対策に対して産業保健師が、会社側に「○○の健康イベントが、会社にとって必要だと考えるので実施したいです」と伝えれば、会社側が必要と思う内容であれば実施するという流れでしたが、COVID-19が流行した時は会社側から産業保健師に対して「産業保健師から従業員に対してCOVID-19に関する感染予防策や、在宅ワーク中の運動不足を解消するための簡単なストレッチとかがあればコラムなどを作成してください」と、会社側が産業保健師に意見を求めるようになりました。

この流れを利用し、今まで手薄であった婦人科検診のイベントも計画しています。

従業員の健康意識が高まった

以前までは、再検査の対象となった従業員に対して産業保健師が病院受診を促しても受診しなかった従業員がCOVID-19が流行した時は、従業員自ら産業保健師に対して「現在タバコを吸っているのですが、今の状況でこのままタバコを吸い続けるとリスクも高くなると思って…。以前教えて頂いた禁煙外来を教えて欲しいのですが。」などの声を多数頂きました。COVID-19の認識はどうであれ、自分自身の生活習慣を振り返ることができたということがポイントだと私は思いました。

このように従業員が健康意識を持っている時に、産業保健師からの健康アドバイスをすれば、従業員はしっかりと聞いてくれました。

働き方の見直し

COVID-19が流行したことにより、私が勤めている会社でも在宅ワークの導入や時差出勤、出勤人数削減など様々な対応をしました。上記のような対応をすることで今まで気づかなかった問題が見えてきました。

例えば、出勤人数を削減したことで苦手意識を持っていた上司と直接話す機会が増え、それによりよりメンタル不調を生じた従業員が多数いました。

つまり【ラインケア】【セルフケア】ができていなかった職場が明るみになり会社側として、【ラインケア】【セルフケア】の必要性を実感するきっかけになりました。

現在は、【ラインケア】の研修会の時間を増やして頂き管理監督者に対して実施し、1年目・5年目・管理監督者などに対して実施する研修会のカリキュラムの中に【セルフケア】の研修会の時間を設けて頂き、産業保健師が講師として実施しています。

さいごに

COVID-19の流行で、たくさんの方が苦労されたと思います。

しかし、悪い出来事ばかりではなく健康について1人1人が気付く良いきっかけになれたと私は思いました。

会社にとって現時点で足りていない健康管理は何かが理解することができ、また現時点で実施している健康管理をより良くするためには、何をすれば良いかなどと考えることが出来ました。

この機会を無駄にせず、これからも従業員の健康保持増進に努めていきたいと思います。