スキルUP

保健指導【禁煙指導編】

今回は、保健指導【禁煙指導編】について説明していきたいと思います。

今後、保健指導の例や実際に対応した内容なども交えながら投稿していこうと思います。実例などがあるほうが参考になるかと思いますので!

産業保健師の仕事内容の主要部分を占めているのが、保健指導です。

保健指導は、主に従業員の生活習慣に目を向けて改善が必要な部分を指導しています。

その中で、よく議題にあがる話題が【禁煙】についてです。

昨今では、タバコによる健康障害が問題視されており、ほとんどの会社が全面禁煙 に力を入れています。

しかし全面禁煙をしている企業の喫煙者率が減少しているのかというと、なんとも言えないところもあります。

保健指導をしていると、「全面禁煙にされて、吸える場所が無くなりストレスになってしまって…。逆に吸う本数が増えました!」と言う声もたくさん聞いてきました。

今回は、私が喫煙者に対して実施した保健指導で効果があった指導を説明していきたいと思います。

タバコの依存性

ニコチンには依存性があり、タバコ使用時に依存を生じる主たる原因となっています。

ニコチンは、口腔内粘膜や皮膚からも吸収される極めて吸収の良い物質で,煙を吸い込んで数秒以内に脳血管障壁を通過して脳細胞に達します。

定期的にニコチン摂取を繰り返すと,ある時期以降には脳細胞は喫煙してニコチンを吸収することでようやく以前と同レベルの活動を維持するようになります。

これが「ニコチン中毒」「ニコチン依存」と呼ばれている状態である。

ニコチンは吸収が速く,体内から消失するのも速いため,常習喫煙者では喫煙後30分程度でニコチン切れ症状を生じ「次の1本」の願望を生じるようになります。ニコチン依存を有する喫煙者はニコチンの血中濃度をタバコを吸う頻度と深さで調節し、最適なニコチン血中濃度による精神的効果を得るとともに、ニコチン離脱症状を避けています。

引用文献;一般社団法人日本循環器学会 禁煙推進委員会

保健指導のポイント

①喫煙者に対してなぜ禁煙出来ないのか理由をしっかり聞く

そもそも、喫煙者に対して「タバコは、体に悪いので吸わないでください」と当たり前の保健指導をしても意味がありません。

喫煙者は、タバコの健康障害を分かった上で吸っている人がほとんどです。

保健指導をする上で重要なことは、喫煙者がなぜ禁煙出来ないのか理由を聞くことです。ストレス発散方法として喫煙しているのか。なんとなく喫煙しているのか。1日のルーティンになっているのか。タバコが好きで喫煙しているのか。様々な理由があります。

産業保健師は、喫煙者の背景に目を向けた保健指導をすることがもっとも重要です。

②禁煙する意思はあるのか。

禁煙意思がある従業員に対しては、喫煙がもたらす健康障害を説明し、禁煙外来を勧めることができますが、禁煙する意思がない従業員に対しての指導で苦戦している産業保健師は多いのではないのでしょうか?

 禁煙意思がない従業員に対しては、禁煙外来の情報提供は行い、本人からアクションがあるまで待つことが大事です。

ただ、いつまでも待つだけではなく産業保健師から積極的にコミュニケーションを図り信頼関係を築いていくことが大切です。

例えば、1ヶ月後~3ヶ月後ぐらいに「体調お変わりないですか?」とメールをする方法や、職場で出会った際に「体調はどうですか?心配していますよ。」と声をかけることもいいと思います。

初回面談で従業員に「よく、話を聞いてくれる保健師だな〜。この人が禁煙を勧めるなら、禁煙外来に行ってみようかな。」と思われればいいですが、そう思われるためには、話術や聞く力など様々なスキルが必要とされるため難しいです。

③従業員のペースに合わせながら健康改善へ誘導する保健指導

どのような保健指導でも、1番重要なことは相手のペースに合わせながら指導することです。

保健師指導でよくある失敗例なのですが、従業員の健康面を考えるがあまり従業員に対して「タバコの健康障害のことを本当に理解してますか?」「どうしてまだ喫煙を続けるのですか?」「このまま吸い続けると健康面が危ないですよ!」と保健師の思いだけを従業員に伝えてしまうことです。

保健師の気持ちは分かるのですが、健康問題に従業員自身が気づかないと保健指導をしたところで意味がありません。

本人が健康問題に気づき、問題に対して行動を起こすような指導をしていくことが保健指導です。

さいごに

保健指導は、産業保健師のメインの仕事となります。そのため、保健指導によって従業員の悩みや健康改善の手助けをどれだけできるかがポイントだと思います。そのため、人と人のコミュニケーションが重要であり、保健師として働く上で人の話を聞くスキル、人にどのように伝えるかのスキルは必要不可欠となります。

急に「健康のためにこうしろ」などと言われても従業員からすれば、不愉快に思われるかもしれませんので、コミュニケーションをとりながら信頼関係を構築してから、アドバイスをするように心がけております。

従業員1人1人状況や背景が異なるため、各々に見合った保健指導を提供できるように、保健師は話術や聞く力を身につけ従業員に「産業保健師が、そういうなら生活習慣を見直してみようかな」と思われる様になるのが理想だと思います。

私も、従業員とたくさんコミュニケーションを図りスキルUPをしていきたいと思います。